今回は、実務では結構問題となりうる点について説明します。
タイトルのように遺言書は出てきたけれど、相続人間で相談した
ところ遺言通りではなく、相続人間の合意で決めた方が良いとされる
ことがあります。
例えば、夫が亡くなり、夫が自筆証書遺言を残していて、夫
の遺言通りだと、不都合がかえってでる場合などです。
その際は、相続人の全員の合意があれば、遺言書通りに分けなくても
特に問題がありません。
法律上明確にしているものはないのですが、一般に
遺言書<遺産分割協議書です。
もっとも、遺言書は故人の意思であり、相続人へのメッセージでも
あるので尊重すべきことは言うまでもありません。
このようなケースは、専門家に相談せずに作成した
自筆証書遺言の時に生じることが多いです。
遺言書は、もちろん遺言者の意思が最優先なのですが、
財産を受け取る相続人や受け取らない相続人のことも十分
考える必要があります。
遺言に詳しい専門家であれば、この遺言を残すことによって
帰って相続人間に争いが生じないか、税金の面では不利益はないか
などまで考えて原案を遺言者と一緒に作り上げていくので
問題は生じにくいのです。
ただし、原則として遺言書通りに遺産分配しなければいけない場合もあります。
例えば、遺言執行者の記載が遺言書にあった場合や、受遺者(遺産を受け取る
者)の一人に相続人でない者が含まれていた場合です。
その場合には遺言執行者や相続人でない受遺者を含めて
遺言通りに財産分配をしないということに同意してもらう必要
があります。
自筆証書遺言も公正証書遺言も作成の際には、遺言執行の
際のことも視野にいれて作る必要があります。